ようこそ、ロマーノへ。
秋をたっぷり召し上がれ。

1990年、当時私の家族は、父の仕事の都合でイギリスに。朝食は、いつもご飯と味噌汁だった父が、クロワッサンとエスプレッソに変わったことがはじまりでした。

最寄の駅から45分ほどでユーストンステーション(ロンドン)。そこにコーヒースタンドに鷲の飾りのついたエスプレッソマシーンがありました。父は毎朝そこで一杯のエスプレッソとクロワッサンを頬張り、そして会社へと向かう日々でした。

私は、昔から喫茶店にあこがれており、いつかは、喫茶店を持ちたいと思っていました。そんな時、勤務していた会社が倒産。それを期に店を開くことを決めました。

当初は、ネルドリップでコーヒーを落とすだけのスタイルの店を考えていましたが、 父の「これからはエスプレッソマシーンの時代になるから、イタリアのエスプレッソマシーンを入れよう」という一言でエスプレッソマシーンを主体としたカフェをやることに。そして父と二人でミラノへと勉強をしに行きました。

そして1995年9月20日、母の誕生日にカフェ・ロマーノをオープン。

そんなロマーノも21周年。月日が経つのは早いものです。ずばり手作りにこだわり、優しい時間の流れる店にしようと続けてきました。ロマーノは開店当時から少しも変わりません。きょうも母をこえようとコーヒーをいれつづけています。


さて、風もすずしくなり、鎌倉もすこし大人びた秋の装いに。身も心も秋にして鎌倉散策はいかが。



◎今月のおすすめ、秋のはじめのモンブラン。

カフェ・ロマーノの名物、モンブラン。はてさて、今年の栗はいかがでしょう。からだのなかいっぱいに、秋がひろがります。



♣ カフェ・ロマーノのメニューをどうぞ。

 ◎最後の一滴までおいしい、コーヒーと紅茶。
 ◎ロマーノ特製、焼きたてのケーキをどうぞ。
 ◎思わず微笑む、デザートとジャムはいかが。

とっておきメニュー、女王様のスコーン。

スコーンというなにやら不思議なひびきの名前は、「The Stone of Scone(運命の石)」という石から。スコットランドのスコーン城で、歴代の国王の戴冠式で使われた石にあやかり、この名前がついたようです。運命の石は、1296年ににイングランドに持ち去られ、戴冠式で使われる木製の椅子の台座に据えられました。そして1996年、運命の石は700年振りにスコットランドに返還され、いまはエディンバラ城にあります。焼き菓子のスコーンは、運命の石を連想させる形に焼き上げられることが多く、その神聖な形からナイフは使わず、縦に割らずに手で横半分に切って食べるのがマナーだといわれています。

私がイギリスやスコットランドで食べたスコーンは、正直おいしいとは言えませんでした。食べた感じはボソボソで、ジャムや生クリームがなければとても最後まで食べられません。ならば、おいしいと素直に思えるスコーンをと考え作ったのが、ロマーノオリジナル・スコーンです。

焼き菓子には最高のバターを。いつも使っているバターのワンランク上のバターを使い、さらに口のなかでパサパサにならないように粉との配分を考える。そしてジャムや生クリームを付けなくてもそのまま食べられるように、少しお砂糖をかけてみたり。焼きたてのスコーンを手で割って、湯気と一緒にバターの香りがふわっとあがり、食欲をそそる。それがロマーノのスコーン。

ロマーノではジャムも手作り。スコーンにあうジャムはなんといっても苺のジャム。今ちょうど旬の苺のジャムを作っているところ。クロテッドクリームと苺ジャムをスコーンにのせてお召し上がりください。

ロマーノオリジナル・スコーンは、かつてエディンバラ城で食べたスコーンよりおいしいことうけあい。いまやスコーンは、英国のティータイムには欠かせない食べ物になりました。アフタヌーンティーの元祖ともいわれるベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアも紅茶とスコーンを一緒に食べていたとか。

卵、牛乳、バター、粉、砂糖のシンプルなお菓子だから、ほんの少しの配分でおいしくもまずくもなる。シンプルだけれど、とても奥の深い焼き菓子です。夢は、エリザベス女王に食べてもらうこと。いったいどのような言葉がもれてくることか。

あら、スコットランドの石もなかなか美味しいじゃない。

今月のポストカード。

《静かの海》冬の夜明けの海は柔らかなグラデーションにつつまれ、大きな星の舞台のひとつに迷いこんだような感覚が漂います。海といえば夏のイメージがあまりに強いようですが、海は四季を通じて実に多彩な色、すがたを見せてくれます。これは由比ケ浜。

《花唱》鶴岡八幡宮の神苑ぼたん庭園にて。本来は春に咲く牡丹を冬に咲かせる冬牡丹。冬に咲く牡丹には冬牡丹と寒牡丹があります。これは冬牡丹の八千代椿。寒牡丹はもともと冬に咲く牡丹。冬牡丹はもともと春に咲く牡丹を冬に咲かせるもの。冬牡丹には緑色の葉がつきます。

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ロマーノ物語【 オープン 】1995年9月20日。

カフェ・ロマーノのオープンは1995年9月20日。母の誕生日に、鎌倉小町通りにオープンしました。おかげさまで今年で18周年になります。オープンの直前まで、注文していた食器が届かず少しはらはらしたこともつい昨日のことのように思い出されます。

コーヒーハウスもずいぶん様変わりしました。昔ながらの喫茶店からコーヒーひとすじの専門店、ファッショナブルな店からどこでも同じ味のチェーン店まで。コーヒーハウスも時代のスタイルにあわせて様々に変わります。

でも変わらないスタイルもあります。カフェ・ロマーノの一杯のコーヒーも、注文をいただいてからその場でしあげる手作りのケーキも、ゆったりと優しい時間のすぎていく店内も、カフェ・ロマーノは変わりません。ただカフェ・ロマーノでありつづけること。それがカフェ・ロマーノのスタイルです。

自分の持っている技術、こだわりを心をこめてすべてだしきる。お客さまにこたえるもの、自分の技術を売る、優しい時間の流れる店を売る、こだわりの味を売る。思いやりをもち、心を大切にし、それにあった商いの方法をとれば繁盛する。そんな18年でした。

ロマーノ物語【 由来 】フォロ・ロマーノからの便り。

よくお客さまに「なんでカフェ・ロマーノというの?」と、カフェ・ロマーノの名前の由来を訊かれます。

「カフェ・ロマーノ」の名前は古代ローマの中心につくられた広場「フォロ・ロマーノ」(FORO ROMANO)からとられています。フォロ・ロマーノはおよそ1000年のあいだ、首都ローマの中心としてさかえていました。そこはいつも人で賑わい、様々なものが行き交っている広場でした。世界の道がつながり、多くの人が出会う場所でもありました。

あの『ローマの休日』でこっそり大使館を抜け出したアン王女が寝ていたのがフォロ・ロマーノのセプティミウス凱旋門のそばの石垣の上。アン王女はそこでポーカーをやめて帰宅するアメリカ人の新聞記者ジョーと出会いました。

そんな賑わいと出会いの場所から「カフェ・ロマーノ」の名前をいただきました。

ロマーノ物語【 こだわり 】ずばり、手作り。

ロマーノのこだわりは、ずばり手作りです。お母さんがこどもにつくるご飯やおやつには、なにものにもかえがたい愛情がつまっています。こどももお母さんに「お母さんのつくったケーキが一番」と笑顔でいいます。

そんな笑顔が生まれるのは手作りだからこそ。ロマーノでは1から10まで手作りにこだわります。こんな面倒ことをやれば時間もかかり、商売的には効率が悪いです。でも、普通のカフェやレストランやケーキ屋ではやれない手作りにこだわり、本当のおいしさをつくり、心にしみる、記憶に残るコーヒーやケーキをロマーノまで足を運んでくれたお客さまにお出ししたいと思います。

目指すのは母の味。有名なケーキ屋をめざしているわけではありません。母をこえることが目標です。

だからロマーノの開店時間は「ケーキが焼けてから」です。これもロマーノのこだわり。

ロマーノ物語【 癒し 】優しい時間を、ロマーノで。

この19年で小町通りもすっかり変わりましたが、最高においしいコーヒーをいれ、最高においしいケーキを出すロマーノはかわりません。19年経っても、ロマーノではロマーノの時間が静かに流れています。

本を読む人、友だちとお喋りをする人、静かにコーヒーやケーキを味わう人、もの思いにふける人、スタッフに近況を報告する人、コーヒーをいれる手を見つめる人、小布施栗のモンブランや苺のミルフィーユをみて笑顔になる人。小さな幸せからかかえきれないくらい大きな幸せまで、人にはそれぞれの幸せがあります。

カフェ・ロマーノは、そんな幸せをお客さまにゆっくりと味わっていただける「優しい時間」を届けます。

いらっしゃいませ。メニューのおいてあるお席へどうぞ。

ロマーノへ、ようこそ。

カフェ・ロマーノは古都鎌倉の小町通りにあるお店です。路地のような小さな階段をあがったところに入り口があります。一杯のコーヒーからケーキ、ジャムにいたるまで、そのひとつひとつにこめられた愛情を味わいに、ぜひおこしください。四季折々、最上のおもてなしをいたします。

〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町 2-7-35 小町ビル 2F
TEL & FAX 0467-24-7058

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